さまざまな病気

目 目やに


目やにはまぶたからの老廃物などが固まったものです。目やにが通常に比べて多いときや、粘り気が強いとき、色が濃いときには疾患を疑う必要があります。

日常生活から考えられる原因

涙の分泌量の変化

涙の分泌が盛んになると、老廃物が増えて目やにが溜まりやすくなります。逆さまつ毛のように常に目に異物が触れていると、異物を排除しようとして涙の分泌が増えるために目やにも多く出るようになります。また、涙の分泌量の減少によっても目やにが出ます。通常、老廃物などはまばたきによって涙とともに洗い流されますが、睡眠中はまばたきが減り、それにともなって涙の分泌も少なくなります。起きたときに目やにがついていることがあるのはこのためです。

花粉やハウスダストなどのアレルギー

目の結膜が、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質の刺激を受けて炎症を起こすと、涙が増えるために目やにが出ます。花粉など決まった季節にあらわれるものと、ダニなどのハウスダストによって1年中症状が続くものとがあります。

目やにの原因となる主な疾患

ウイルスや細菌の感染によって起こる結膜炎では、目やにが大量に出るのが特徴です。アレルギー性結膜炎やアレルギー性結膜炎の重症型といわれる春季カタルでも目やにが出ます。また、涙嚢(るいのう)炎では、大量の目やにや膿に悩まされます。

目やにをともなう主な疾患

細菌性結膜炎

結膜炎は一般的に、充血、目やに、かゆみ、涙目、ゴロゴロする異物感などの症状があらわれます。黄色ブドウ球菌などに感染して起きる細菌性結膜炎は、黄色い膿のような目やにが特徴です。感染力は強くありませんが、抵抗力が弱い高齢者や乳幼児などでは慢性化することがあります。

ウイルス性結膜炎(はやり目)

アデノウイルスなどに感染して起きるウイルス性結膜炎は、まぶたが腫れて充血し、目やにや涙がたくさん出たりする他、耳の前にあるリンパ節にしこりができることもあります。また、同じアデノウイルスが原因となる咽頭結膜熱(プール熱)は、目のかゆみとのどの痛みや発熱、だるさ、吐き気、下痢などの全身の症状をともないます。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、アレルギーの原因となる異物が結膜に入ることで目に充血や強いかゆみが起きて、涙や白い糸をひくような目やにが出ます。さらに結膜がむくんで白目の部分がブヨブヨと柔らかくなることもあります。ハウスダストが原因の通年性のものとスギなどの花粉が原因の季節性のものがあり、最近ではコンタクトレンズの汚れがアレルギーの原因になることもわかってきました。

春季カタル

アレルギー性結膜炎の重症型が春季カタルです。強いかゆみやまぶしさに加え、粘りが強い目やにが出て、とくに春から夏にかけて症状が悪化する傾向があります。さらに悪化すると、まぶたの裏に白いブツブツができます。アトピー性皮膚炎を持つ子どもに起こりやすく、男児は女児と比べて2倍くらい多くみられます。

涙嚢(るいのう)炎

涙道が詰まって、涙道にある涙嚢という小さな袋が細菌感染を起こしたのが涙嚢炎です。鼻の辺りが腫れて痛みが生じ、目は充血して赤くなり、涙が止まらずに目やにが出ます。ひどい場合は熱が出たり顔の半分が腫れたり、目頭を押すと目から膿が出ることもあります。

日常生活でできる予防法

部屋をこまめに掃除し清潔に保つ

花粉、ハウスダスト対策は、部屋の掃除をこまめに行うことや通気を良くすることが大切です。ただし、花粉を外から室内に持ち込まないためにも、花粉の時期に窓を開けたり洗濯物を外に干すことは避けましょう。ダニの繁殖を防ぐために、カーペットは敷くのを止めるか、こまめに掃除機をかけたり時々丸洗いすることをおすすめします。

細菌やウイルスから目を守る

(1)手で目をこすらない、(2)帰宅後はよく手を洗う、(3)結膜炎にかかっている人とタオルなどの生活用品は別々にする、(4)プールから出たらよく洗眼し、目薬をさすなどして、細菌やウイルスから目を守りましょう。

対処法

目やには綿棒で取り除く

目やにを触った手から他の人に感染が広がることがありますので、目やには手で触れないように、綿棒やティッシュ、ガーゼでそっと取るようにしましょう。乾いてこびりついてしまった目やにを無理に取ろうとすると、目の周りの皮膚を傷つけることになりかねませんので、その場合は水やお湯で少し湿らせてから取りましょう。

市販の薬を使う

細菌性結膜炎には抗菌成分サルファ剤が配合された点眼薬、アレルギー性結膜炎にはアレルギー用点眼薬を使用するのが効果的です。目薬の種類は非常に多いので、薬剤師または登録販売者に相談して症状に合った目薬を選びましょう。

病院で診察を受ける

目やにが大量に出たり、目やにの色が濃く粘り気が強いようなときは、眼科で診察を受けましょう。

目やにの主成分は山芋と一緒!?

目やには、目からの分泌物や老廃物などが固まったものですが、中には驚くべきものも混ざっています。それは、山芋や昆布、ウナギなどに含まれているネバネバとした「ムチン」という物質。ムチンは眼球の表面をはじめ、口の中や鼻の中、果ては胃や腸にまで存在し、人の体を守っているのです。人の体に山芋と同じ成分が存在するなんて、意外ですよね。