さまざまな病気

口・鼻・のど のどのつかえ感


のどに異物がつかえていたり、炎症が起きて腫れているときはもちろん、検査をしても異常がないのに、のどの奥に何か詰まっているように感じることがあります。このようなのどの異物感、違和感が「のどのつかえ感」です。

日常生活から考えられる原因

ストレスによる自律神経の乱れ

食道は口から入った物をぜん動運動によって胃に送り込みますが、心身のストレスがあると自律神経のバランスが崩れ、のどや食道の動きが悪くなって、のどのつかえ感を引き起こすことがあります。

胃酸の逆流

食べ物を一度にたくさん食べたり、脂肪分の多い食事をしたり、アルコール飲料を飲んだりすると、胃酸の逆流を防ぐ食道下部の筋肉がゆるみやすくなります。胃酸は強い酸性を保っているため、逆流すると食道だけではなく、のどの粘膜に炎症が起き、自覚症状としてのどのつかえを感じるようになります。

ウイルスや細菌への感染

風邪やインフルエンザのウイルス、細菌に感染すると、のどの奥が炎症を起こして腫れ、異物感を感じることがあります。また、食道の粘膜がウイルスやカビなどに感染すると、のどのつかえ感や胸やけなどがあらわれます。疲れが溜まっていたり体力が低下しているときなどに感染しやすくなります。

アレルギーによる気管の炎症

のどのつかえはアレルギーによる気管の炎症によってもあらわれることがあります。気管の炎症の原因の多くは、ハウスダストですが、なかでもダニに対するアレルギーがとくに多く、その他スギ花粉や卵、牛乳、そばなどの食べ物がアレルギーの原因となる場合もあります。

異物の誤飲

食道の入口部分など狭くなっているところに飲み込んだ物が引っかかり、のどがつかえてしまうことがあります。乳幼児は玩具やボタン、ピーナッツなどを詰まらせてしまうことが多く、お年寄りでは義歯や魚の骨、大きめの錠剤やカプセル剤などを詰まらせることも少なくありません。また、飲み込む力が低下するため、お餅がのどに詰まり、呼吸困難に至ることもあります。

のどのつかえ感をともなう疾患

神経性胃炎

仕事などによる精神的なストレスや過労が原因となり、自律神経がバランスを崩して起こる胃炎です。ストレスによって、自律神経がバランスを崩すと胃酸が過剰に分泌され、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛むなどの症状を引き起こします。

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ストレス

胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎

胃食道逆流症は、増加傾向にある疾患で、暴飲暴食の習慣や加齢、肥満などが原因で胃酸や胃の内容物が逆流し、のどのつかえ感や胸やけを起こす疾患です。胸やけは、とくに食後に起こりやすくなります。肥満傾向にある人や、腰が曲がり背中が丸くなったお年寄りに多く見られます。胃食道逆流症は食道の炎症がみられない疾患のことをいいますが、食道の炎症をともなう場合は逆流性食道炎といい、胃切除手術を行った人によくみられます。

咽頭炎

ウイルスや細菌などによってのどの粘膜に炎症を起こす急性咽頭炎は、のどの粘膜が赤く腫れ、のどのつかえ感の他に、のどの痛みや頭痛や発熱をともなう場合もあります。急性咽頭炎を繰り返すと、慢性咽頭炎に進行することがあります。強い痛みや発熱はなくなりますが、のどに異物感が続き、物を飲み込むときに痛みを感じることもあります。

扁桃炎

細菌感染により引き起こされる炎症で、のどの奥の扁桃が真っ赤に腫れあがり、悪化すると膿を持ちます。39~40℃の高熱と、のどの激しい痛みやつかえ感、物を飲み込むときの異物感、全身の倦怠感があらわれます。さらに感染が広がると、首のリンパ腺に腫れや痛みが出ることもあります。

気管支喘息

アレルギーによる気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状があらわれると、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどのつまる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜいめい)、呼吸困難が続きます。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。

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喘息

うつ病

特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず、気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しい状態に陥るのがうつ病です。食欲の減退、睡眠障害、集中力の低下をはじめ、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。

日常生活でできる予防法

ストレスを発散し、健康的な生活を送る

のどのつかえ感の原因となるストレスを溜め込まないことが大切です。ゆっくり休息する時間をとり、十分な睡眠をとる。そして自分に合った趣味を見つけるなどの工夫をして、ストレスと上手に付き合っていきましょう。また、ウイルスや細菌に負けない抵抗力をつけるためにも、日頃からバランスの良い食事と適度な運動を心がけていきましょう。

胃酸の逆流を防ぐ

胃酸の逆流を防ぐためには、早食いや食べすぎをはじめ、ガードルなどの衣類の着用や、長時間にわたる前かがみの姿勢で腹部を強く圧迫することを避けましょう。また、夜は脂肪の多い食事や過食を避け、アルコールや炭酸飲料は控えめにし、朝食をしっかりと食べることが大切です。

アレルギーの原因を避ける

喘息の発作を予防するには、掃除をこまめに行い、室内の花粉やハウスダストを減らすことが大切です。ダニの繁殖を防ぐには、寝具をまめに干し、カーペットは敷くのをやめるか、時々丸洗いしましょう。また、自分に食物アレルギーがないか、日頃から注意しておくことも必要です。

対処法

安静にしてうがいをする

のどの粘膜が腫れているときは、安静にしてよくうがいをしましょう。また、汚れた空気の環境を避け、タバコやお酒も控えます。

市販の薬を使う

風邪によるのどのつかえ感には、のどの痛みを中心に抑える風邪薬やせき、たんを取り除く薬、トローチ剤、細菌を殺菌するのどスプレーなどを使ってみましょう。また、ストレスからくるのどのつかえ感などの胃腸の不具合には、神経性胃炎に効果的な漢方処方の胃腸薬を服用してみましょう。

病院で診察を受ける

食道に異物が詰まったときは、医療機関で緊急処置を受け、異物を取り除く必要があります。扁桃炎の場合は1週間程度で治まるのが一般的です。しかし、のどのつかえ感が長引くときは重い疾患が隠れている場合がありますので、主治医か耳鼻咽喉科、または消化器の専門医を受診しましょう。検査をしても異常が見つからない場合は、早めに心療内科などの心の専門医を受診しましょう。

のどのつかえはストレス時代のつらい症状

「ストレスなどを受けると、体のどこに不調を感じますか?」の質問に対して、半数近くの人が「胃腸症状」と答えています。その中で最もつらい症状に「胃痛」を挙げた人が一番多く(41.4%)、あまりなじみがないように思われる「のどのつかえ」が最もつらいと感じる人も5.1%いました。胃腸の不具合は人それぞれ。薬剤師に相談しながら自分の症状に合った薬を選び、早めにケアしましょう。