さまざまな病気

口・鼻・のど せき・たん


気管や気管支の分泌物や、外からの異物などを排出する反射的な運動がせきです。肺や気道から分泌される粘液の量が、疾患などによって異常に増え、のどから排出されるのがたんです。

日常生活から考えられる原因

ウイルスや細菌による感染

風邪やインフルエンザのウイルス、細菌に感染すると、空気の通り道であるのどや気管、気管支、肺が炎症を起こすことでせきやたんが出ます。また、風邪や肺炎などの後、気道の粘膜が過敏になってせきが続く場合があります。

花粉やハウスダストなどのアレルギー

喘息などは、主にアレルギーが関与していることが考えられます。スギなどの花粉や、ダニやホコリなどのハウスダストといったアレルギーの原因になるものが、体内に侵入してアレルギー物質を作り、せきなどを引き起こします。花粉など決まった季節にあらわれるものと、ハウスダストによって1年中続くものがあります。

タバコの煙による害

タバコの煙に含まれるタールは、気管や気管支を刺激してせきやたんを引き起こす原因になります。直接タバコを吸っていなくても、人が吐き出した煙によってせきが出ることもあります。

せき・たんをともなう疾患

肺炎

ウイルスや細菌が肺に侵入し、炎症を起こします。風邪をこじらせたりすることも原因の一つです。症状としては、のどが痛くないのにせきやたんが出たり、38℃以上の高熱が続きます。また、肺の働きが低下して呼吸が苦しくなることもあります。体力が落ちている人や、免疫力の弱いお年寄りは注意が必要です。

気管支炎

ウイルスや細菌による感染などによって、気管支が炎症を起こします。急性気管支炎は、乾いたせきや発熱、のどの痛み、鼻水、頭痛の症状があらわれるので、風邪と間違える場合も多くあります。慢性気管支炎に進行すると、せきやたんが慢性的に繰り返されます。

気管支喘息

アレルギーによる気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって気道が狭くなり、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、せき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜいめい)、呼吸困難があり、息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。

喘息

百日ぜき

百日ぜき菌という細菌に気道の粘膜が感染し、炎症を起こします。初期は軽いせきや鼻水など、風邪に似た症状がみられますが、その後1週間ほど経過すると、連続で出る激しいせきの症状があらわれます。乳幼児に多くみられます。

肺結核

結核菌という細菌に肺が感染して起こります。せき、たんや肉眼では確認できない微量の血が混じったたん、微熱などの症状が2週間以上続きます。結核菌は、結核菌感染患者のせき、たんなどによって感染が広がりますが、初期症状が軽いため、感染に気付かないこともあります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長年の喫煙習慣などが原因で起こります。慢性気管支炎になり、せきやたん、息切れが続いた後、ゆっくりと肺の機能が低下して、徐々に呼吸が苦しくなり、最終的には呼吸不全になることもあります。30~40年近くかけて進行するため、自覚がない場合が多いといわれています。

肺がん

喫煙や車の排気ガスなどが深く関与しているといわれています。初期段階や小さな肺がんでは全く自覚症状がありません。レントゲン撮影で偶然見つかることが多く、せきや血たん、呼吸困難などの症状があらわれます。がんの死亡率で第1位の肺がんは、がん死亡数の約2割をしめています。

日常生活でできる予防法

風邪のウイルスを寄せ付けない

空気が乾燥して風邪が流行する時期は、マスクをして、外出から戻ったら、うがいと手洗いをしましょう。また、普段から体力づくりを心がけ、風邪のウイルスに負けない抵抗力をつけましょう。

過労を避け、体力をつける

ウイルスや細菌が体に入ってきても負けないように、バランスの良い食事や適度な運動を心がけて免疫力を高めましょう。疲れていると免疫力は低下するので、きちんと休息をとりましょう。

室温、湿度を調整する

空気が乾燥すると、ウイルスに感染しやすくなります。ウイルスが増殖できない環境を作るために、室温が20~25℃に、湿度が60~80%になるように調整しましょう。湿度の調整は加湿器の他、部屋に濡れタオルを干したり、お湯を沸かすことでも行うことができます。

タバコの煙を避ける

タバコはせきやたんの大きな原因であり、呼吸器の疾患を引き起こすこともあります。喫煙を控えるのはもちろん、周囲からのタバコの煙にも注意しましょう。

対処法

生活習慣を改善する

十分な睡眠、バランスの良い食生活などを心がけて、早めの完治を目指しましょう。タバコを吸っている人は禁煙する、アレルギーを持っている人は、アレルギー物質を避けるようにするなど、いま以上に悪化しないように、生活習慣や体質を見直しましょう。

市販の薬を使う

せき・たんに効果のある薬にはトローチや錠剤などのさまざまなタイプがあります。また、風邪薬の中でも、とくにせき・たんを緩和する成分が含まれているものもありますので、自分の症状に合わせて使い分けましょう。さらに、風邪の後半に残るしつこいせきを鎮めるせき止め薬もあります。

病院で診察を受ける

せきやたんがなかなか治まらない場合は、肺炎や肺結核や他の重い疾患が隠れている可能性もありますので、主治医や内科、耳鼻咽喉科、呼吸器科の診察を受けましょう。

子どものせきの注意点

子どもはせき込むと吐きやすいので、食後はとくに注意してあげることが必要です。せきが出ているときは、食事は消化の良いものを与え、吐いたときのために洗面器などの受け皿になるものを、近くに用意しておきましょう。 ゼーゼーというせきのときは、水分が不足するとたんの切れが悪くなり、のどにたんが詰まってしまうこともあるので水分補給に気をつけてあげましょう。