さまざまな病気

泌尿器・肛門 血尿


血尿には、肉眼で見て血が混じっていることが確認できるものと、顕微鏡で尿検査をして初めてわかるものとがあります。目で確認できる血尿は、コーラのような色をしていて、その多くは排尿痛や腹痛などの症状をともないます。女性の場合、生理やおりものが混じり、血尿と見誤る場合もあります。

日常生活から考えられる原因

過労などによる体の抵抗力の低下

過労などで体の抵抗力が落ちると、膀胱が細菌に感染しやすくなり、炎症を起こして血尿になることがあります。中でも、女性は尿道が短いため、外から尿道をさかのぼって膀胱に細菌が侵入しやすく、さらに冷えなどによる血流の低下が加わると、より細菌に感染しやすくなります。また、長時間トイレを我慢することも、細菌感染を引き起こしやすくします。体質的に疲れると血尿を起こしやすいという人もいますが、これはとくに心配はいりません。

偏った食事やアルコールの飲みすぎ

肉類などの動物性脂肪をとりすぎると、尿中のシュウ酸濃度が上昇し、結石ができる原因になります。また、アルコールを飲みすぎると尿から尿酸の排泄が低下するために、血中の尿酸濃度が上昇し、尿酸結石を引き起こすことがあります。レバー、真いわしなどのプリン体を多く含む食品のとりすぎも、尿酸結石の原因になります。小さな結石でしたら問題ありませんが、大きくなると尿の通り道を傷つけ、血尿を引き起こします。

疾患が原因で起こる血尿

血尿の原因として、まず、膀胱や腎臓そのものが細菌に感染して炎症を起こす膀胱炎や腎盂腎炎、慢性糸球体腎炎などがあげられます。また、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石では、結石が尿の通り道を傷つけることで血尿が発生することがあります。血尿があるものの、排尿時の痛みや頻尿、腹痛などの症状がない場合は、腎臓、膀胱、前立腺のがんが疑われますので、注意が必要です。

血尿をともなう疾患

急性腎炎

腎臓の血液をろ過する糸球体に炎症が起きる疾患です。小学校低学年から高学年をピークに、子どもに多くみられます。咽頭(いんとう)炎、扁桃(へんとう)炎などの上気道の炎症や黄色ブドウ球菌などによって皮膚に感染症を起こした1~3週間後に突然起こります。多くは肉眼では確認できない血尿やたんぱく尿、尿量の減少などの他、目の周りがむくんで、高血圧や倦怠感、動悸があらわれます。

急性膀胱炎

膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。膀胱炎になるとトイレが近くなり、排尿時の痛み、尿のにごりや血尿などの症状があらわれます。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。

腎臓結石・膀胱結石・尿管結石

腎臓や膀胱、尿管などの尿路に結石ができる疾患です。結石が尿の通り道を塞ぎ、傷つけることで血尿が出ることがありますが、これは顕微鏡でないと確認できないものです。腎臓結石や膀胱結石では痛みはほとんどなく、あっても鈍痛程度です。しかし、腎臓にできた結石が尿管へ流出した尿管結石では冷や汗をかくほどの激しい発作的な痛みが脇腹、下腹部、腰にあらわれます。吐き気や嘔吐と、肉眼で確認できるほどの血尿が出ます。

腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん

腎臓、膀胱がんの初期症状として、血尿が出ることがあります。最初は血尿以外の症状はありませんが、進行すると排尿困難や排尿痛、頻尿、膀胱部の痛みなどに加え、全身の倦怠感や貧血などの症状があらわれます。また前立腺がんは、ある程度進行してから血尿が生じます。頻尿や排尿困難、残尿感など、前立腺肥大症とよく似た症状をともなうときは、早急に主治医や泌尿科医の検査を受けましょう。

日常生活でできる予防法

動物性たんぱく質とアルコールを控える

尿路の尿が酸性に傾くと結石ができやすくなるため、鶏卵や牛肉などの動物性たんぱく質や塩分、ビタミンCのとりすぎに気をつけましょう。尿中のカルシウム濃度を低下させる働きがあるクエン酸を多く含む、酢や柑橘類を積極的にとりましょう。また、結石ができやすくなるアルコールは極力控え、付き合いで飲むようなときは、なるべく一緒に水分を摂取して、尿が濃くならないように気をつけましょう。

細菌の膀胱感染を防ぐ

まず、大事なのはトイレを我慢しないことと、水分の補給です。体を冷やしすぎないように、温かい飲み物をとるのがおすすめです。そして、外陰部は常に清潔に保つ習慣をつけましょう。生理用ナプキンやおりものシートは、3時間を目安にこまめにとりかえるようにしましょう。

定期健診を受ける

血尿のほとんどは、肉眼では確認できません。気がついたときには病状が進行していたということがないように、毎年、定期的な健康診断で尿検査を受けましょう。

対処法

病院で診察を受ける

痛み、肉眼で確認できる血尿以外に症状がないようなときは、泌尿器のがんの可能性もあります。血尿が確認できたときは、ただちに主治医や泌尿器科の診察を受けましょう。また、肉眼で確認できない血尿もありますので、尿量が減少したり、痛みをともなうようなときも必ず診察を受けるようにしましょう。

尿の我慢は厳禁!

外出先などで、ついつい尿意を我慢してしまうことはありませんか?尿を我慢していると、膀胱や尿道括約筋が長時間緊張を強いられるために、いざ出そうとしても尿が出にくくなってしまいます。さらに、尿の流れに支障が生じることで、細菌に感染しやすくなります。このように、尿の我慢は体に悪影響を与えるだけなので、尿意を感じたら必ずトイレに行く習慣をつけましょう。