さまざまな病気

全身 だるさ・倦怠感


だるさや倦怠感は、運動など体を動かしたときに起こるものと、安静にしてても感じるものがあります。だるさや倦怠感の原因には、ビタミン、ミネラルなど栄養やエネルギーの不足、体を酷使したことによる疲労の蓄積、精神的なストレスによる脳の疲労感などがあります。休養しても回復しないだるさや倦怠感には重大な病気が潜んでいることもありますので、軽視は禁物です。

日常生活から考えられる原因

過労や睡眠不足、不規則な生活

働きすぎで休息が取れなかったり、睡眠不足が続くなどで心身ともに疲労が溜まってくると、だるさや倦怠感が起こってきます。また、不規則な生活が続くとだるさや倦怠感があらわれることもあります。

精神的なストレスの蓄積

人間関係や仕事によるプレッシャー、引っ越しや結婚など環境の変化などによって精神的なストレスが積み重なると、普段以上のだるさや倦怠感を感じることがあります。放置しておくと、うつ病や不安障害、心身症などの精神疾患につながっていくこともあります。

偏った食事による栄養バランスの乱れ

ビタミンやミネラル、たんぱく質など、体に必要な栄養素が不足すると、だるさや倦怠感が起こります。とくにビタミンB群、とくにビタミンB、B、B、Bは、栄養素をエネルギーに変える働きを持っており、不足するとエネルギーがつくられにくくなったり、代謝がうまくいかなくなることなどから、だるさや倦怠感がなかなかとれなくなります。また、鉄分の不足は貧血によるだるさや倦怠感を引き起こすことがあります。

だるさ・倦怠感の原因となる主な疾患

貧血

鉄分の不足などによって、血液の中で酸素と結合して酸素を運ぶヘモグロビンが減少すると、体のすみずみで酸素が足りなくなり、だるさや倦怠感が生じます。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。ヘモグロビンは赤い色素のため、不足すると赤味が少なくなって顔が青白くなります。

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貧血

風邪

風邪のウイルスが侵入すると、体がウイルスを排除しようと免疫機能を活性化させます。そのため、発熱やだるさ、倦怠感が起こることがあります。1週間程度で治るのが一般的です。他に、風邪では頭痛、頭重感、鼻水、鼻づまり、咳などの呼吸器症状などもあらわれます。

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風邪(感冒)

急性肝炎

肝炎の原因にはウイルス、薬剤、アルコールなどがありますが、多くはウイルスによるものです。A型、B型急性肝炎の感染初期には風邪に似た症状が、その後高熱、頭痛、横になっていてもつらく感じるほどの倦怠感などの全身症状や腹痛、下痢、吐き気などの消化器の症状があらわれます。このような症状が1週間程度続いた後、黄疸があらわれ目の結膜や顔の皮膚が黄色くなります。

更年期障害

閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。症状には、不眠の他に疲れやだるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや気分の落ち込みなどがあります。

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更年期障害

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

1回10秒以上の呼吸停止を、ひと晩に30回以上引き起こします。呼吸停止や、呼吸をしていても酸素を吸いこんで吐き出す換気量が半減することから熟睡できず、睡眠時間を十分とっても疲れがとれない、だるさが残るなど、日常生活に支障をきたすことがあります。放置すると高血圧や糖尿病、心臓病、脳卒中の原因になることもあります。寝ているときに大きないびきをかくのが特徴です。

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睡眠時の無呼吸

慢性疲労症候群(CFS)

日常生活に支障をきたすような原因不明の著しい倦怠感と疲労感が長期間続く状態のことをいいます。全身の疲労感、倦怠感の他に筋肉痛、睡眠障害、思考力の低下など、心と体の症状があらわれます。症状が似ていることから、うつ病や更年期障害と間違えられることが少なくありません。

うつ病

他に特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず、気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しい状態に陥るのがうつ病です。食欲の減退、睡眠障害、集中力の低下をはじめ、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。

潜在的ビタミンB欠乏症

ビタミンBは偏食などによって食事からとる必要量が足りなかったり、糖分のとりすぎ、激しい運動によって消費されるなどの理由で不足します。その結果、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸、息切れなどの症状を引き起こします。この状態では脚気の症状はありませんが、その発現の可能性が高いので、脚気予備軍とも言われています。またアルコールの常習によっても、ビタミンBの欠乏を招くことがあります。

糖尿病

糖尿病はすい臓でつくられるインスリンの分泌や作用が低下し、血糖値が慢性的に高い状態になる生活習慣病です。さまざまな合併症を引き起こす危険な疾患ですが、初期は自覚症状がないため、血液検査で空腹時血糖値が126mg/dlと診断を受けて自覚するパターンがほとんどです。糖尿病が進行すると、だるさや倦怠感、のどが渇いてたくさん水分をとるために尿の量が増えるなどの症状があらわれます。

日常生活でできる予防法

規則正しい生活を心がける

不規則な生活、とくに昼夜逆転の生活やストレスは脳の疲労感や自律神経の乱れを引き起こします。忙しくても、朝は決まった時間に起きて朝食を食べ、朝日を浴びるようにすると体がシャキッとするはずです。

十分な休息をとる

疲れを感じたら、まずは、無理せずにゆっくりと休むことが大切です。睡眠時間があまりとれないときも、質の良い睡眠がとれるよう、寝る前に音楽などを聞いてリラックスしたり、自分にあった寝具を選ぶなどの工夫をしましょう。また、寝る前はコーヒーなど、カフェイン入りの飲み物は控えましょう。

ストレスを解消する

スポーツや趣味に没頭するなど、実生活とかけ離れた行為に集中したり、普段の生活圏を離れて自然の中で森林浴をするなど、心身のリフレッシュを図ることで、ストレスを改善することができます。また、悩みや不安があるようなら誰かに相談するなどストレスの元となっていることは早めに解決しましょう。さらに、好みの音楽を聴いたり、ペットを飼うことで暮らしを明るくするといった工夫もストレス解消に効果があります。

栄養バランスのとれた食事をする

食事は、体の構成に欠かせないたんぱく質、エネルギーの源になる炭水化物と脂肪、これらの代謝を調節するビタミン、ミネラルをバランス良くとりましょう。忙しい朝はパンやフルーツ、野菜の入ったスープなどで手軽に、しかし栄養価の高いものを食べ、昼と夜は魚や大豆、玄米などを献立に取り入れるように意識してみましょう。

対処法

適度な運動をする

適度な運動は、全身の血行を良くし、心身の疲労感を取り除き、だるさや倦怠感の解消に繋がります。日中に体を動かすことで、適度な疲労が得られ、夜しっかり眠れて生活リズムができるといったメリットもあります。さらに食欲を増進させることで栄養不足の解消にも繋がります。

バランスの良い食事と十分な睡眠をとる

バランスの良い食事と、十分な睡眠はだるさや倦怠感の回復を早めます。1日3食を規則正しく、そして栄養バランスを考えて食べて、なるべく早く寝るように心がけましょう。多忙で睡眠時間を十分にとることができないときは、入浴後に軽いストレッチをしてみましょう。心身がリラックスし、心地良い眠りにつくことができます。

市販の薬を使う

毎日の食事ではとりきれないビタミンやミネラルなどは、ビタミン剤などの市販の薬を服用することで補うことができます。糖質をエネルギーに変える働きを持つビタミンB群を補うと良いでしょう。中でも疲労回復に欠かせないビタミンBは体に吸収されにくい特徴を持ちます。そのため、体への吸収率を高めたビタミンB誘導体とされる医薬品をとることがおすすめです。

病院で診察を受ける

持続的で回復しないだるさや倦怠感がある場合には、がんなどの重大な疾患が隠れていることもありますので、医師による診察を受けることをおすすめします。主治医に相談してみましょう。また、人間ドッグなどの健診を受けるのもいいでしょう。

“週末疲れ”を避けて有効な休日を!

平日は、忙しく働き続け、疲労を溜め込んで土日にダウン。週末は1日中寝ているという人がいます。それでもすっきりせず、月曜日にはだるさや疲れが残ることになる。そんな週末疲れの解消には、日々の生活を見直しましょう。仕事の合間にちょっとしたブレイクタイムや自宅に戻ってのリラックスタイムをもうける、食事をきちんととるなど、少し心がけるだけでずいぶんだるさや倦怠感が取り除けます。