さまざまな病気

胃・腸 おなら


腸内に発生したガスが、肛門から排出されるのがおならです。おならの主成分は、窒素、水素、二酸化炭素などで、臭いは食べた物によって変わります。1日のおならの回数は平均5、6回といわれていますが、食生活や疾患の影響によっては、ガスが溜まりやすくなり、おならの回数が増えることがあります。

日常生活から考えられる原因

繊維質の多い食事

豆類やいも類など、繊維質の多い食品は腸内ガスを発生させやすく、食べすぎると必然的におならの回数が増えることになります。このおならは健康上何の問題もなく、むしろ健康な証拠ですので、気にしすぎないようにしましょう。

肉類や臭いのきつい食品の食べすぎ

肉や臭いのきつい食べ物は、腸内の細菌によって分解されて強い臭いを放つアンモニア、インドール、硫化水素などを多く発生させます。そのため臭いのきついおならが出やすくなります。

便秘によって溜まった腸内のガス

便秘になると、排泄されない便とガスが腸内に溜め込まれます。すると、溜まったガスを外に出すために、おならの回数が増えます。しかも、長い間腸に停滞したガスは発酵が進んでいるので、臭いのきついおならになります。

ストレスによる腸内ガスの増加

緊張したときなど、精神的なストレスを感じると無意識のうちに唾を飲み込む動作が増えます。そのときに一緒に空気を飲み込んでしまうことで腸にガスが溜まりやすくなり、おならの原因となります。

おならの原因となる主な症状・疾患

慢性胃炎や過敏性腸症候群など、腸にガスが溜まりやすい疾患ではおならが多く発生します。また、大腸がんが進行して便秘がちになるとおならがよく出るようになります。

おならをともなう疾患

呑気(どんき)症

気づかないうちに大量の空気を吸い込み、その空気が胃腸に溜まることで、腹部膨満感が起こったり、げっぷ、しゃっくり、おならがよく出るようになります。早食いや一気飲み、口呼吸のくせのある人、炭酸飲料が好きな人にみられます。また、神経質な性格の人にも多いといわれています。

慢性胃炎

原因の約8割がピロリ菌の感染によるものですが、その他、非ステロイド性抗炎症薬の副作用や慢性的なストレスなども原因になると考えられています。胃の粘膜が弱まり、炎症が繰り返されて治りにくくなっている状態です。胃の機能が低下するため、おならが増えたり、突然胃痛や吐き気が起こり、多くは膨満感、胃もたれ、胃痛、胸やけ、吐き気、げっぷなどの症状が慢性的に繰り返され、胃潰瘍に進行することもあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。

胃炎

過敏性腸症候群

精神的ストレスや情緒不安定などが原因で、腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛をともなう慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こったり、何週間も下痢が続いたり、一時的に治まり、その後再発するという現象を繰り返すこともあります。また、腸内の環境が乱れるため、腸にガスが溜まって、お腹がゴロゴロと鳴ったりおならが多く出るようになります。

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過敏性腸症候群

大腸がん

大腸がんの多くは、初期の場合は検査を受けないとわからない血便が出るくらいで、ほとんど自覚症状がありません。進行すると大腸が狭くなってがんこな便秘となり、弱い音のおならが出るようになります。さらに腹部にしこりを感じたり、便が細くなったり、下痢、腹痛などの症状があらわれることがあります。

日常生活でできる予防法

肉類の食べすぎを避ける

肉類や、にんにくなどの臭いのきつい食べ物は、おならの臭いを強くする大きな要因です。食べすぎは控えましょう。また、おならの臭い対策としては、ヨーグルトを食べて腸内のバランスを整えることが効果的です。

便秘になりにくい生活習慣を心がける

便秘を予防するために、①お通じを我慢しない、②水分を補給する、③適度な運動を行う、④食物繊維を積極的にとるという習慣を心がけましょう。運動は1日10~15分のウォーキングや、水平足踏みを左右40回ずつなど、軽いものでも毎日行うことが大切です。健康な排便を促すのに欠かせない食物繊維は、ごぼう、さつまいも、じゃがいも、納豆などに多く含まれています。また、便秘の予防として毎日ヨーグルトや乳酸飲料、バナナやはちみつなどのオリゴ糖をとることも効果的です。

ストレスを溜めない

平日は家に帰ったら好きな音楽やテレビ、お風呂でリラックスし、休みの日にはスポーツや趣味に没頭するなど、実生活とかけ離れた行為に集中してみましょう。心身のリフレッシュを図ることで、ストレスを改善することができます。

対処法

市販の薬を使う

便秘によるおならが気になるときは、市販薬では、漢方薬が胃腸の調子を整えるのに効果的です。何種類もありますので、薬局で薬剤師や登録販売者に相談し、自分に合ったものを選びましょう。また、便秘の場合は、自然に近いお通じを促す漢方便秘薬や、腸内のバランスを整える乳酸菌配合の整腸薬などが有効です。

病院で診察を受ける

臭いおならが頻繁に出たり長い間続くときや、腹痛や下痢などをともなうようなときは、主治医に相談するか、内科、消化器科で診察を受けましょう。

年をとるとおならが臭くなる!?

自分のおならや便が、年とともに臭くなったように感じている人はいませんか?実は、年齢とともに本当に臭いは強くなっているのです。加齢によって胃腸の機能が衰え、食べ物の消化も段々と遅くなっていき、胃や腸に長く留まるようになります。長い間腸に停滞したガスは発酵が進んでいるため、臭いのきついおならや便になるのです。