さまざまな病気

足 外反母趾(がいはんぼし)


足の親指の付け根の骨が変形して外側に突き出し、第1指(親指)がくの字に曲がって第2指(人差し指)の方に向くのが外反母趾です。親指の付け根が靴に当たったり、親指が人差し指と重なって圧迫による痛みが生じ、悪化すると歩くことすらままならなくなることもあります。

日常生活から考えられる原因

歩き方のくせや体質

かかとから着地するのではなく、つま先や足全体を地面につけるような歩き方をしていると、足の親指の付け根に負担がかかりやすくなります。また内股の人も、歩いていると自然に親指の付け根に負荷がかかります。負荷を受けた親指は、徐々に変形して曲がっていき、外反母趾を引き起こします。

合わない靴による足の圧迫

サイズの小さい靴や先が細い靴は、足を圧迫するので親指が変形する原因となります。ヒールが高い靴も足が前に滑りやすくなるため、つま先に負担がかかり外反母趾を引き起こしやすくなります。合わない靴やヒールの高い靴は足を圧迫するだけでなく、歩くときに膝が曲がったり、歩く姿勢が悪くなったりすることで関節に負担をかけるため外反母趾の原因の一つと考えられています。

筋力の低下

太古の昔は手と同じように、足も自由に物をつかんだり、横に広げることができました。しかし進化の過程や、生活習慣の変化などによって徐々に足の親指を横に広げるための筋肉が弱まり、足の横のアーチが崩れて全体的に横に広がることが多くなりました。足のアーチが崩れることで、足の親指の角度を保つ筋肉の力が低下して外反母趾を引き起こします。

外反母趾(がいはんぼし)の症状

親指がくの字に曲がり、付け根と靴がこすれて痛む

初期の外反母趾の親指の角度は10~15度で、この頃には痛みはほとんどありません。しかし、20度以上になると、親指がくの字に曲がり親指の付け根が大きく飛び出て、この部分と靴がこすれて痛みが生じます。一度親指の変形が進行すると、元に戻りにくくなるので、外反母趾は何よりも予防が重要になります。

日常生活でできる予防法

正しい歩き方でウォーキングをする

正しい姿勢で歩く習慣をつけたり、足の筋力を強化することは外反母趾の予防になります。まず、手を振りながら少し大股で歩き、かかとから着地しましょう。こうすると自然と背筋が伸びます。さらに、上から吊られているようなイメージで上半身をまっすぐにして、肩の力を抜くと全体の姿勢が綺麗になります。普段からこの歩き方を心がけて、少しでも多くウォーキングするようにしましょう。

自分に合った靴を履く

靴は(1)サイズ、(2)横幅、(3)かかとがフィットしているか、(4)つま先が曲げられるだけの高さの余裕があるかという4つのポイントを全て満たす物を履くと足に負担がかかりません。パンプスの場合は足先に余裕があって前に滑らず、かかともしっかり安定しているものを選びましょう。また、平日に仕事でパンプスを履いていることが多いという人は、休みの日はなるべくリラックスできる運動靴で過ごすことをおすすめします。

対処法

自分に合った靴で痛みをやわらげる

外反母趾になったときに、前と同じような靴を履いていては症状が悪化する一方です。サイズや横幅、かかとのフィット感などを再度確認するようにしましょう。シューフィッターがいる靴販売店で足の形を見てもらうのも一つの方法です。また、外反母趾を矯正する目的でつくられた市販のサポーターや装具などがありますが、これらは整形外科医の指導を受けたうえで使うようにしましょう。

足の体操を行う

足の親指を引っ張ると角度が元に戻るような初期の外反母趾は、体操が有効です。まず、幅の広いゴムバンドを用意して両端に足の親指が入る輪をつくりましょう。そのゴムバンドを両足の親指に引っ掛け、床に足を投げ出して座り、両足の踵を合わせたまま足先を扇のように開いて親指を外側に引っ張り、限界まで引っ張った状態を5~10秒保ちましょう。この運動30回を1セットとして、1日に3セット行いましょう。

病院で診察を受ける

足の親指が曲がっていたり、足と靴がこすれて痛いときには、整形外科で診察を受けましょう。靴を履かなくても激痛が走るようなときは、だいぶ悪化していると考えられますので、早急に受診しましょう。

外反母趾は女性の宿命!?

外反母趾は男女比1:10と、圧倒的に女性に多く、軽い例も含めると中高年の女性の約半数が悩んでいるともいわれています。外反母趾が女性に多い理由は、まず、足の関節が柔らかく筋肉も少ないために足が変形しやすいこと。次に、ハイヒールやパンストなど、男性に比べて足に負担がかかりやすい装いであることといわれています。日頃から歩く姿勢に気を配り、靴の選び方に注意するなど、外反母趾にならないよう気をつけたいものですね。